vol.45 植物の不思議。よく見て観察しよう!

仕事部屋から見える公園の真ん中には立派なネムノキがあり、今、花の見ごろを迎えています。太陽が昇り明るくなるとその葉を開き、夕方太陽が沈み暗くなると閉じます。朝起きて夜眠るような葉の動きから、「ネムノキ」と呼ばれます。

同じように日中開いていて、夜になると閉じる葉を持つ植物は、身近にたくさんあります。例えばオキザリスやカタバミ。まるで傘をたたむような恰好で葉を閉じます。触るとその葉を閉じるオジギソウもやはり夜になると、ネムノキ同様葉を折りたたみます。身近な観葉植物では、エバーフレッシュも同じように夜葉を閉じます。このエバーフレッシュ、水分が足りなくなった時も、葉からそれ以上の蒸散を防ぐために葉を閉じたりする、とても賢い植物です。
葉は閉じませんが蒸散を防ぐために、日中の気温の高い時間だけ葉を太陽からそらすように傾ける植物もあります。野山に茂るクズがそうです。日中の一番熱い時間帯に太陽に対し葉をかしげて直接太陽光に当たらないようにすることで、余分な蒸散を防ぎコントロールしている事が分かっています。

植物の不思議。よく見て観察しよう!

葉ではなく、花を開いたり閉じたりする植物もたくさんあります。夏の暑さに負けずに花をたくさん咲かせるポーチュラカも朝になると花を開き、午後少し過ぎると閉じる植物の代表格。本来曇りや雨の日にも花を閉じてしまう性質の植物ですが、最近はより長い時間咲くよう改良された品種も出ているので、品種によっては本来閉じてしまっていた曇りや夕方遅くまで咲いているものもあります。
朝もかなりの早起き植物と言えば、夏の代名詞「朝顔」。朝方3時頃から咲き始める分、午後にはしぼみます。ツユクサも早朝に開き、午後には花がしぼみます。

逆に夜咲く花もたくさんあります。夏の一夜かぎりの大輪を咲かせるので有名な「月下美人」はだいたい夜9時ごろから咲き始めてわずか2時間ほどでしぼみます。野山で咲くオオマツヨイグサや森に咲くカラスウリも夜咲く花として有名です。夕方から翌朝まで咲くオシロイバナは、英語名で’”four o’clock”。4時ごろから咲き始めるのでその名がついたようです。

普段何気なく見ている植物。日中咲く花たちの開花し始める時間も種類によって微妙に違うので、それを観察してみても面白いですね。花たちが咲く時間帯をずらしている訳は、その受粉を助ける虫や小動物たちの行動時間が関係しています。夜咲く花たちの受粉者は蛾が多く、夜でも比較的発見しやすい色だったり、遠くにいても分かるような甘い香りを出したりなど彼らの工夫はなかなかのものです。

有名な植物学者カール・リンネが実際の花の開花時間を考慮した花時計を作った事があると本で読んだ事があります。よくよく花を観察するとそんな事も出来るのかもしれませんね。花の開花で大体の時間を知る事が出来たなら、それもまた素敵だと思いませんか?

開いて閉じる植物いろいろ

オジギソウは、触ると葉を閉じるので有名ですが、触った個所からどんな風に閉じて行くのかを観察するとその運動が伝わって行く様子が見られて面白いですよ。夜の限られた時間に咲く月下美人。これらサボテンの育つ現地熱帯地方での受粉者はなんとコウモリ。受粉者は蝶や蛾、鳥だけではないんですね。松葉牡丹は夏の定番植物の一つ。明るさで花を開いたり閉じたりすると思われがちですが、実は温度で開閉している花の一つ。他にはチューリップやクロッカスが同じく温度が開花に影響しています。ためしに咲いている時間帯に冷蔵庫に入れてみると一目瞭然です。

夏の代名詞「朝顔」。小学生の頃、その開花の瞬間を見る為に咲きそうな花を紙で縛って、日中咲くその瞬間をみんなで見て感動したのを思い出します。緑のカーテンの一つとして注目されている朝顔ですが、朝顔として売られている中でも、種類によって開花時間が違います。早朝に咲くいわゆる朝顔、昼頃まで咲く西洋朝顔、さらに夕方まで咲き続ける宿根朝顔(ノアサガオ、琉球朝顔として出回っています)などです。初夏に咲くものもあれば、夏も遅くから咲き晩秋まで開花を楽しめるものもあります。さて、ご近所に咲く朝顔はどんな種類でしょう!?そんな視点で観察してみるのもまた楽しいですよ。

◎次回のテーマは「室内園芸で涼しげに!」です。