vol.32 水辺の植物でしっとりとした庭景色

梅雨というと、雨ばかり降ってジメジメジトジト、洗濯物は乾かないし、何だかお部屋も気持ちも湿っぽくなっちゃうという印象があるかもしれません。でもそれって、大人の都合。子供の頃は雨上がりの水たまりにわざと入って遊んだり、オタマジャクシを見つけに行ったり、カエルを捕まえたり・・・特に梅雨の雨上がりは楽しかった事を思い出します。雨上がりにはしゃぐ子供と同様かは分かりませんが、雨がふって喜んでいる植物たちもいます。

この時期咲くアジサイとそして水生植物たち。しっとり潤っているからこそ元気でイキイキしている水生植物を庭に取り込めば、雨の窓越しに外を眺めて「ああ、今日も雨」とため息つかずに少しは楽しくなるかもしれません?!

水辺の植物でしっとりとした庭景色

今時期ガーデンショップに行くと様々な水生植物が売られています。
根を地中に張り葉を空気中に出して生活する「抽水植物」には、イグサ、カラー、コウホネ、シペラス、ハスがあります。そして根を地中に、葉を水面に浮かせる「浮葉植物」にはスイレンやヒシ、アサザ、ヒツジグサがあります。ハスやスイレンを単品で楽しんでも良いし、イグサやコウホネなど幾つかの種類を大きな水鉢内にレイアウトすれば、しっとり落ち着いた水辺の景色を庭で楽しむ事ができます。
そのとき、それぞれの性質と水位を考えて、ゴロ太石やレンガなどで嵩上げして配置すると自然に上手くおさまります。
もっと簡単に楽しみたい人は水面にぷかぷか浮いているホテイアオイやウォーターレタス、ウキクサなどの「浮水植物」を、ガラスや陶器で出来たお気に入りの器に浮かせて楽しむ方法もあります。
さらに、色々植えるのが難しいという人は、この時期開催されている花菖蒲のお祭りに出かけて鑑賞するのも一つの方法。花菖蒲は湿地に生える「湿生植物」の一つで、同じような環境にある植物として他にもミソハギやミズバショウ、セリやワサビがあります。

(植物の分類はランドスケーププラツ 景観設計植物 ワールドグリーン出版を参照しています)

水生植物育て方のコツ

スイレンやハスなど購入時の鉢が小さく植え替えが必要な場合や、水生植物の寄せ植えを作る場合、荒木田土や水生植物専用の土を用意し、素焼き鉢もしくは駄温鉢に植え替えます。それを水を張った大きめの水鉢に沈め完成。スイレンやハスなど花を多く咲かせるものについては、元肥として完熟した骨粉や化成肥料を土中に埋込んでおくのも忘れずに。様子を見ながら追肥を施します。
スイレンは株元にも日が当たるよう、葉が茂りすぎたら取り除く。浮水植物を浮かせた場合に、それらが水面を占領するようだったら減らして程よい量にコントロールするなどの手入れが必要です。
メダカや金魚などの生物を一緒に飼う場合、温度の上昇には気をつけましょう。浮水植物で魚たちの陰を作ったり、マツモなどの「沈水植物(完全に水の中に沈んでいる植物)」を入れて産卵しやすい環境を作るなど工夫します。

あやめは山野に生え花菖蒲やカキツバタは湿地に生えます。花の中心部分を見ると、あやめは網目模様が入り(花5月上~中旬)、花菖蒲は黄色(花5月下~6月中旬)、カキツバタは白から薄黄色(花5月中~下旬)の模様が入ります。開花期も見分けになりますね。ちなみに菖蒲湯のショウブには花弁がつかず薄黄緑色のガマのような塊が花です。