vol.28 待ち遠しい春を想像しながら楽しく待つために

読書の秋という言葉がありますが、ガーデニングを楽しむ者にとって読書の冬の方がしっくりくる気がするのは、私だけでしょうか?暦の上では立春ですが、まだ寒いというのが正直なところ。夏のように給水に追われる事もないし、春の花を植え付けるにはまだ早く、少し余裕のあるこの時期、今年の庭のアイデアでも練りつつ、本やカタログを楽しむには絶好の時です。

待ち遠しい春を想像しながら楽しく待つために

まず一番におすすめなのが、園芸家のバイブル「園芸家12ヶ月」(カレル チャペック著)。私はこの本を読む度に、植物好きに国境はないんだと感じます。所々に入る挿絵も味があって、大好きです。ちなみにこの本の中ではカタログや本を見るのは12月になっています。きっとお正月までに庭をきれいに!という風習もないし、東欧チェコの冬はきっと私の住む房総半島よりもずっと早くやってくるんでしょう。

そして、「ボタニカルライフ」(いとうせいこう著)も好きな本の一つ。読んでいて思わずくすっと笑ってしまうような、エッセイ集。私は「ベランダー」ではないのですが、思わずそうそうとうなずいてしまう内容盛りだくさんです。ベランダーが知りたければ、是非本をお読み下さい。

「リネアの12ヶ月」もおすすめ。主人公リネアが友人の元庭師ブルームさんやその友人ブラッシュさんと一緒に庭や植物にまつわる色々な遊びを月ごとに紹介しているガーデニング絵本です。

洋書や海外の雑誌も、見ているだけで楽しい気分にさせてくれます。
私はとりわけアメリカのガーデン雑誌「sunset」とイギリスのガーデン雑誌「Gardeners’ World」を見るのが好きです。もちろん気候が違うので出来ない事もありますが、中にはなかなか面白いアイデアを見つけたりもできるでしょう。ただ、スモールガーデンの規模がスモールでないのが少し気になる所ですが・・・。

読書ももちろん楽しいのですが、そこに載っているその植物を実際に買う事が出来る園芸カタログは、眺めるだけで夢が広がります。これもあれも買いたいという衝動に打ち惑わされない強靭な心と、思いつきのまま買ってしまわないような決心が必要ですが、今年はどんな種を蒔こうか、どんな植物を植えようか、思いを巡らせつつ眺める事が、何とも幸せな気分にさせてくれるすごい冊子たちです。

さあ、本と雑誌とカタログですっかり頭と気持ちは春モード。新たなアイデアとやる気でいっぱいのはずです。あと必要なのは、本格的な春の到来を辛抱強く待つぐらいでしょうか。

今が旬の植物たちベスト3

我が家でいち早く始動しはじめるスノードロップ。まだ寒々しいこの時期に、かわいらしい白い花をちょこんとつけて佇ずむ姿に思わず笑み。春への希望を感じます。道を歩いていてとっても良い香りがしたら、きっとそれはソシンロウバイです。透き通るような黄色の花びらと、何とも言えない甘い香りが寒空に漂います。樹木に葉のない今だからこそ楽しめる半寄生植物、宿り木。我が家の周辺では大きなケヤキなどに丸く着生した姿があちこちで見られます。この実を食べに来るヒレンジャクも例年今くらいから3月頃にかけて飛来します。

屋外の庭は少し寂しいこの時期、毎年世界らん展が開かれます。今年も東京ドームで2月16日~24日まで開催されます。蘭と言って思い出すのが、「蘭に魅せられた男」(スーザン・オーリアン著)。アメリカ、フロリダの特別保護区にある希少な蘭「幽霊らん」に魅せられた男が主人公のノンフィクションストーリー。優美で気品があって、それでいて魅惑的な蘭。やっぱりこの植物には魅せるとうい言葉がぴったりだと思うのです。