vol.27 お庭に洒落を取り込む

今年も新しい年がスタートしました。
我が家のお庭はと言えば、寒々しい景色の所々にビオラやキンギョソウなど秋に植え込んだ花たちが、まだ春は来ないかと冷たい風をやり過ごしながらじっと寒さに耐えています。花が咲き乱れるにはまだ早く庭に手がかからないこの時期は、庭園見物に出かけるのが毎年恒例の行事です。この時期にどんなお庭を見るかといえば、ずばり日本庭園。冬の時期だけ見られる気の利いた洒落を随所に見る事が出来ます。

お庭に洒落を取り込む

本来庭園の松に雪がかかっても枝が折れないようにとされる「雪吊り」は、最近では雪の降らない地方でも意匠として見せる所も多くあります。他には寒さに弱いソテツの防寒対策「藁ぼっち」や、冬ボタンの雪や寒さ避けとしてかぶせられる「藁囲い」、害虫を集めるために巻かれた「こも巻き」やコケなどを霜から守るための「敷き松葉」など。どれも意味のある防寒対策でありつつも、冬の風情に一役買っています。
さて、こんな芸術的な防寒対策は小さな庭ではなかなか難しいと思う人もいるかもしれませんが、料亭や小料理屋の露地や店先、和風庭園で藁ぼっちの上部の飾りのみを「季節的飾り」とした例を見る事があります。ちょっとした藁のオブジェとでも言いましょうか。

藁や松葉を敷いたり巻いたりする事で得られる寒さよけや、雪対策、また虫対策を季節の飾りとして進化させていった日本の庭文化や、それらを美しい芸術として極めていった職人さんの心意気はすごいなあと、毎年これらの景色に出会う度に感心します。
知らないと見過ごしてしまいそうな冬の技の数々を見に、冬の日本庭園に出かけてみてはいかがでしょう?

冬の日本庭園にまつわる色々

松などに巻かれたこもは、大抵「啓蟄(けいちつ)」の頃まで見る事が出来ます。二十四節気で3月初め頃を言い、虫が冬ごもりから這い出て来る頃だそう。小さな和風草盆栽鉢に敷き松葉を取り入れると、これもまた風情があって素敵です。少しはさみで短くすると収まります。米収穫後の秋から冬の田んぼには、藁ぼっちを見る事ができます。藁を効率よく保存するために田んぼに積み上げられました。野趣溢れるこのような長閑な冬景色を庭に取り入れたのが庭園のそれなのでしょうか?

雪の重みや寒さから植物たちを守る方法の一つに雪囲いがあります。冬の北海道を訪れたとき、小さな低灌木それぞれを縄でしばったもの、ツツジやシャクナゲ、ブルーベリーなどの中低木を小さなやぐらと縄で囲ったもの、さらにむしろなどでぐるりと巻いたもの、低木の植え込み用に作られた棚など様々なタイプがあり興味津々。雪がずっしり積もる雪国ならではの、冬の風物詩です。