vol.24 秋風を感じるグラス、その使い分け

西に沈み込む太陽がオレンジに色づくこの季節。森の木々がかさかさを音をたて、コオロギやバッタたちが壮大なバックミュージックを奏でます。ダリアに立てた支柱にトンボが止まり、穂をあげたススキが涼しい風に体を揺らしています。
秋ですね!先日まで暑かったのがウソのように涼しくなって、我が家の庭でも黄色のルドベキア・タカオの横には夏の間少し休憩していたダリアが蕾をあげ、その近くではパープルファウンテングラスやイトススキが穂をあげています。
庭や鉢植えに葉の細いグラス類を取り込むと、すっきりと景色がまとまるので好んで色々なグラス類を植えています。でも一言にグラスと言っても、大きさ、色、葉の細さなど、それぞれ雰囲気は随分異なります。

秋風を感じるグラス、その使い分け

例えば小型のグラス類。花が見頃の斑入りヤブランはナチュラルガーデンの木陰には欠かせないグラス。葉の黒いコクリュウや斑入りのカレックスは、庭植えはもちろんですが、鉢植えとしてボルドーカラーのケイトウや今が見頃のきれいな葉色のコリウス、観賞用トウガラシにとても映えます。
和風の自然風庭園に合うグラスと言えば、セキショウやフウチソウ。セキショウは葉がつんと上に立ち上がり、水辺や水鉢に添えるととてもよくあいます。またフウチソウはふんわりと広がる樹形と葉の薄さが特徴なので、照明の近くに置くと、とてもきれいです。
大きく成長するタカノハススキは庭の奥、コンパクトにまとまるイトススキは植え込みの中盤、手前に持ってきても大丈夫。巨大に成長するパンパスグラスは、植える場所選びは慎重にしなければなりません。超小型のヒメセキショウは、小さな草盆栽の植え込みにもとても良く合います。

葉のたなびく姿を見ているだけで、秋の風情と風の動きを感じるグラス類。大きさや葉の細さ、色合いなどを考慮して、場所や雰囲気にあったアレンジをしてみてはいかがでしょうか?

ススキの手入れ、 3つのポイント

きれいだけど鋭い葉には注意して。パンパスグラスやタカノハススキなど品種によっては葉を掴んで引っ張ると、手を切る事もあります。寒さが来る前に切ると寒風でだめになったりした経験上、寒さの落ち着く2月末から3月あたりに刈り込むと、寒さで株を傷める事なく翌春のきれいな穂が楽しめます。ススキに代表されるイネ科のグラス類は根の張りが強いので、根止めようにプラスチックの板を張り巡らしてから植えたり、プラスチックポットのまま植え、数年ごとに株分けするなどの作業が必要です。

イギリスのキュー王立植物園で見たグラスガーデン。初めて訪れたのが丁度晩秋の頃、園内をぐるぐる歩き回って最後の最後にたどり着いたのが丁度夕暮れ時でした。グラスだけで構成されたお庭に圧倒されたのを、思い出します。